万葉集の「作者不詳」歌は、約四千五百余の「歌集」の中で、その半数くらいある
実際に、万葉集の編者からみれば、作者の手掛かりも得られず、
ただ「歌」だけを記された「原資料」しかないことが殆どだろうが、
推測されるのは、誰が詠んだか解っていながら、敢えてその名を伏せる、ということもあったことだろう
...それなりの理由で...
「作者未詳」と現代で称される歌々は、たとえば「東国」の一農民だとか、
名も無き若者たち、だとか、また伝承され収録された「古歌」だとか、と括られるが、
そもそも、「歌」を現代に残せるほどの定型化されたものを、
まだ「日本語表記」の、ままならない時代の「無名の人たち」が、本当に詠い得たのだろうか、
そんなことを、ときどき考えてしまう
今、「遣新羅使歌群」を読み出しているが、
これまで感じていた上述の件を、改めて考えてしまう
「外交使節団」という、国家の重要な任務を負いながら、当然選ばれた者大刀なのに、
その「歌群」に現れる「作者未詳」の歌々...
今、そのことと向き合いながら、まさに当時の「荒波」に漕ぎ出す「遣新羅船」の如く、
私も、大きく揺さぶられている
しばらくの、大海原の楽しみを、これから想える日々を...